すみれ

庭の一角に、あちこち散らばっていたすみれを集めた場所があります。そのすみれが花を開いています。毎年このすみれが咲くと、我が家の庭にも春が来ます。チューリップでも水仙でもなく、すみれです。ひっそりと上品に咲く姿は、心を和ませてくれますね。雨の後、光を浴びてキラキラと輝いています。本当に愛らしい花です。

モーツァルトの歌曲「すみれ」を久しぶりに聴きました。短い歌曲の中に、憧れや喜び、悲しみ、慈愛等の感情が、優しいメローディの中にぎっしりと詰まっています。我が家の庭のすみれも、毎年こぼれ種であちこち拡がっていきます。この歌曲を聴くと、歩く道に咲いているすみれを踏む訳にはいかず、見つけると、安全な場所にせっせと移し替えています。すみれもきっと喜んでいることでしょう(笑)。

毎日庭仕事に勤しみ、買い物以外は出歩かない生活を続けていますが、久しぶりに森を歩いて来ました。このところの暖かさで、もう芽吹きが始まり、森は明るくなっていました。この森はクロツグミが多く、囀りが森の中に響き渡っていました。今年の新緑は早そうですね。

春のように明るいモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ。数多ある演奏の中で、私は長い間、グリュミオー／ハスキルや、ズスケ／オルベルツらの演奏を聴いてきましたが、新しい演奏に出会いました、なんて艶やかなヴァイオリンの音色でしょう。メロディが春風に乗って流れてきます。うっとりして聴いています。