クロツグミ

鳥の名前を覚えたくて、本を買い込み、双眼鏡を揃え、日本野鳥の会主催の日曜探鳥会に通ったのはもう随分昔です。鳥の鳴き声を集めたCDを買い、自分の部屋でよく聴いたものです。最初の頃は鳥の姿をなかなか捉えられず、随分悔しい思いをしたものです。少しづつ自分の目で確認できる鳥の数も増えていき、それからは山を歩くときは必ず双眼鏡を持ちました。森の住人達の姿を見ることで山歩きはさらに楽しいものになりました。オオルリやキビタキの鮮やかな姿を見つけ、沢沿いの道ではミソサザイやコマドリの高い鳴き声を聞き、メボソムシクイや、ヒガラの鳴き声が聞こえるようになると、ああ随分高度が上がって来たなと、歩く道や標高によって次々現れる鳥たちに会うためにせっせと山を歩きました。春から夏に向かって、様々な声が賑わう森の中に居ると、幸福感一杯でした。

でもなかなか出会えないも鳥もいます。声はすれど姿が見えない、私にとってはそれがクロツグミです。

クロツグミ | 日本の野鳥識別図鑑

顔が黒く、嘴は黄色、お腹にごま塩の斑点模様がある鳥ですが、その鳴き声は本当に素晴らしく、他の鳥の鳴き声もまねて、優雅で、さながら森のエンターテナーです。そのクロツグミを始めて見たのが蓼科に来てからで、家から車で10分位の所にある森です。突然目の前に現れた時は、ビックリしました。何せ長い間その姿を探していたのですから。

今朝ふと庭を見ると、クロツグミが歩いています。台所の横の窓からずっと見ることが出来ます。何やら餌を探しているようです。どうもこのところ庭掃除をずっと続け、雑草を抜いたりしているのですが、土が起こされ、そのあとを歩き餌を探しているようです。クロツグミが我が家の庭を散歩してるなんて、贅沢な環境ですね(笑)。なんとか写真をと表にそっと出たのですが、「まっぴらごめん」ととばかり飛び立っていきました。また訪ねて来て欲しいものですね。